内視鏡検査において、鎮静剤が使用できない場合の代表例として、小児や妊婦があげられます。個別の病態やリスクを考慮し、適切な全身管理体制を整えることが欠かせません。
小児に対する鎮静法の選択基準と全身管理体制の整備
小児の場合、加齢とともに体重が増加し続けるだけでなく、個体差も大きいことから、使用する鎮静剤の種類選択と投与設計は慎重を要します。特に乳幼児期早期では肺機能や腎機能の未発達が問題となります。ですから標準的な鎮静法を安易に用いることは避け、年齢や病態を考慮し、呼吸管理体制や救急装置の準備を整えた上で、全身状態を連続モニターしつつ慎重に実施することが基本です。
妊婦では母体だけでなく胎児への影響も考慮する必要性
妊婦では鎮静剤使用によって、子宮収縮の誘発や胎児運動の低下を通じて、胎児へのリスクが生じうることが大きな問題です。特に妊娠後期では胎児の生体恒常性維持機構が脆弱であることから、思わぬ胎児奇形や発育遅延を招く可能性が完全には否定できません。以上より、妊婦に対する鎮静法選択では、母体のみならず胎児の安全性にも十分配慮し、産科医との連携の上で慎重に検討する必要があると考えられます。